遺言その2 遺言書の方式

遺言

遺言を書くには、法律で決められた「作法」があります。

民法では、

第九百六十七条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

遺言の方式には、普通方式と特別方式があり、普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三つがある。

特別方式は、危難に遭遇した場合など極めて特殊な状況下での遺言であり、死亡危急者遺言、伝染病隔離者遺言、存船者遺言、船舶遭難者遺言の四つがある。(あまり使いません)

本ブログでは普通方式のみをとりあげていきます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を書き、これに押印(ハンコを押すこと)することにより成立します。

財産が多数ある場合は、財産目録をワープロ等で作成し添付することも可能としています。

自筆証書遺言は、証人の立会も必要なく、すべて自分で書くことに特徴があります。遺言全文、氏名、日付を自書することによって、遺言者本人が作成したことが分かり、証拠となります。

尚、氏名は氏と名前のフルネームを丁寧に書くべきです。また印鑑は、三文判でもokですが、シャチハタは陰影が薄くなることもあり避けた方が無難です。

自筆証書遺言のメリットとしては、手軽に作成できること、費用が掛からないことがあげられます。ある程度文章力に自信があって、A4サイズの紙一枚に論理的に整合した文章を書くことができて、文書の保管について維持管理できる人には向いているかと、思います。(保管については、自筆証書遺言について、法務局の遺言書保管制度が創設され、多少費用はかかりますが、紛失を防止できるようになりました。)

反対にデメリットは、自由に書けることの裏返しとして、文章が意味不明で法的に無効な文章になる恐れがある、形式不備となるおそれがあること。また、自分で保管するので紛失・偽造のおそれがあり、また発見されないリスクもあるでしょう。さらに、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続きが必要となります(民法1004条)。

遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。これは、家庭裁判所に家事審判申立書を提出します。検認は、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではないので注意が必要です。

結構、面倒で手間がかかります。尚、公正証書遺言にはこの検認は必要ありません。

遺言・相続に関する相談は、ぜひ行政書士の古橋までご相談ください。

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