<設例> 長男一家と同居していますが、長男の嫁にずっと介護の世話を受けています。本当に献身的によくやってくれていて、その恩義に報いたいと思います。次男、三男一家はろくに訪ねてもこず何もしてくれていないので、遺産分けの話を子供たちに任せられません。どうしたらいいか・・・・・。
長男の嫁には相続権がない
息子三人は法定相続人になりますが、長男の嫁は、同居して介護の世話をしていても法定相続人ではないので、財産相続できません。このことは、社会生活実態に対し民法が適応できていない部分だと思います。
親の介護などを尽くした人に対して、財産を多く配分する仕組みとして「寄与分」の制度がありますが、これは法定相続分に寄与分を割り増しするものであり、対象は法定相続人に限られます。ですので、長男の嫁には寄与分はありません。
設例のケースで最も良い方法は、やはり遺言を残し、献身的な介護につくしてくれた長男の嫁に、財産を遺贈することです。
あるいは、生前贈与として、財産の一部を長男の嫁に譲渡することもあるでしょう。
尚、平成30年民法改正で、長男の嫁のように被相続人の親族ではあるが、相続人ではない者は、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合に、遺産に対する持ち分が与えられることはないが、特別寄与料を請求できることになりました(民法1050条)。
<民法抜粋>
第十章 特別の寄与
第千五十条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
特別寄与料の制度は始まったばかりであり、まだ実績があまりないでの、遺言を残すことが安全確実でしょう。
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